離婚したら住宅ローンは誰が支払う?離婚時の財産分与の注意点とは

離婚時の財産分与の注意点

 

住宅ローンは、滞納や支払えなくなった方だけではなく、離婚のときや離婚後数年たってから問題が起こる場合があります。
実際に私ども「任意売却の窓口」でも、毎月のように離婚と住宅ローンに関する相談をいただきます。

離婚については、離婚件数が1970年に約9.6万件だったのが、2014年では約22.2万件と倍以上になっており、珍しいことではなくなったと感じます。
2014年の婚姻件数が約64万件ですから、3組に1組が離婚しているとも言われているようです。

平成26年(2014)人口動態統計(確定数)の概況 | 厚生労働省

またデータは少し古くなりますが、2008年のデータで、離婚の種類を見てみますと、約9割は協議離婚(裁判所を通さないお互いの話し合いによる離婚)となっています。

平成21年度「離婚に関する統計」の概況 | 厚生労働省

よく離婚には多大なエネルギーが必要だと言いますが、中でも特に解決が難しいのは子供の親権問題で、その次に住宅ローンを含めた離婚後の住まいをどうするのかという問題ではないでしょうか。

私どもへの離婚と住宅ローンに関するご相談の中で、特に多いのは、「妻と子供がそのまま自宅に住み、夫が住宅ローンを支払う約束で離婚したが、数年経って住宅ローンの支払いが滞り困っている」という相談です。
協議離婚の場合、離婚にともなう話し合いを早く終わらせたいといった心理から、離婚後の住まいと住宅ローンについての取り決めをきちんとなされていないケースが多いのではと思われます。

このような場合でも、状況に応じて様々な解決法がありますが、どうしても困るのは、元夫(あるいは元妻)と連絡が取れない。また連絡を取りたくないといったケースです。
お気持ちは察しますが、住宅ローンの名義や自宅の所有名義を変更する場合などには、どうしても当事者との連絡が必要になってしまいます。

また、住宅ローンの名義についても、離婚により名義や連帯保証人を変更できるわけではありませんし、勝手に変更してもらえるといったこともありません。
極端な例としては、住宅ローンの名義が夫で、離婚により夫が家を出て行くとなった場合、一括返済を求められることもあり得ます。
住宅ローンは自宅に対するローンですので、ローンの名義人がその家に住んでいる必要があるためです。

このように、住宅ローンの返済中に離婚となった場合には、住宅ローンにまつわる問題が様々に発生します。
私どもは「任意売却」を専門に取り扱っておりますので、できれば離婚時に自宅を売却して住宅ローンの精算をなさっておかれた方が良いと考えております。

しかし、現実としてなかなか難しいことでもあるかと思いますので、後々後悔したり困ったことにならないために、離婚のときの住宅ローンに対する対処法をお伝えしていきたいと思います。

そこで今回は、まず離婚時における財産分与の基礎知識と、住宅ローン返済中の離婚において検討しなければならないことについてお話しいたします。

【離婚での財産分与の基礎知識】

離婚することになった時は、夫婦の共有財産をお互いに分割して配分します。
具体的には持ってる資産が少ない方が、多い方から一定の財産を受け取ることができ、これを財産分与といいます。

例えば妻が専業主婦で、夫の収入で生活していたとしても、離婚時には、基本的に財産の50%を妻が夫に請求することが可能です。
また財産分与は、現金(預金)や不動産だけではなく、年金の他、退職金が対象になる場合もあります。

財産分与は、離婚から2年以内であれば請求は可能ですが、やはり離婚が成立するまでに確定されておかれる方が良いかと思います。
話し合いでまとまらない場合は調停などが必要となり、費用も労力もかかってしまいますが、離婚後に再度会って話し合うストレスなどを考慮した場合、しっかり取り決めをして離婚した方がベストだと言えるでしょう。

離婚後に再度話し合いとならないように、まず財産分与の基礎知識を知っておきましょう。

(1)財産分与の割合

夫婦共働きの場合は原則として2分の1、専業主婦若しくは専業主夫であっても基本的には2分の1ずつとなります。

以前は専業主婦の割合が多く、財産の形成は夫が中心と考えられていたため、専業主婦の場合の財産分与割合は2~3割程度とされていた時期がありました。

しかし、時代の移り変わりや男女平等の意識の高まりとともに、妻の貢献度が高く見直されました。
つまり、内助の功が財産形成に寄与している点が重視されるようになったと言えます。

そのため現在では、共働きの場合はもちろん、専業主婦(主夫)の場合でも基本的に2分の1ずつの割合で財産分与がなされます。
ただし、夫(あるいは妻)が医者や弁護士、会社経営者など個人の特殊な能力や努力により、高額な資産形成がなされたと考えられる場合には、2分の1とならない場合もあります。

(2)財産分与の対象(対象となるもの・ならないもの)

財産分与には、対象になるものと、ならないものがあります。
具体的には以下の通りです。

「財産分与の対象となるもの」:共有財産

・現金…貯金は対象
・不動産…相手の名義になっていても土地・建物は対象
・有価証券…婚姻後の社債や株券なども対象
・家電・家具…婚姻後に購入した家具や、電化製品は対象
・年金…共済年金や、厚生年金も対象
・退職金…退職金がもらえる場合は対象

「財産分与の対象とならないもの」:特有財産

・婚姻前の所有物…嫁入り道具も対象外
・それぞれの両親から譲り受けたもの…夫婦で築き上げた財産ではないので対象外
・独身時の購入物…結婚以前の貯金・株券は対象外
・日常生活の私物…私物で使用している衣類や、ジュエリーは対象外

(3)債務(マイナスの財産)は?

マイナスの財産、つまり借金は、夫婦生活のためのものについては財産分与の対象となります。
住宅ローンもオーバーローン(売却しても住宅ローンの残債が残る)の場合は財産分与の対象となります。

ただし、浪費の借金やギャンブルの借金は財産分与の対象外となり、借金をした個人が支払う義務があります。

(4)財産分与の時効

財産分与の請求をできる期間は、離婚後の2年間とされています。
また、この2年という期間は消滅時効期間ではなく、「除斥期間(じょせききかん)」として扱われています。

「除斥期間」とは、時効と同じく決められた一定期間内に権利を行使しなければ、権利が消滅する制度です。
消滅時効と違う点は、期間中に停止・中断がないことです。

例えば、慰謝料の請求などの場合には、内容証明郵便を送ることで時効の進行を止めることができますが、財産分与の請求権はこの進行を止めるといったことができません。

ただし、離婚後の2年以内に調停や審判の申し立てを家庭裁判所に申し立てた場合は、それが確定するまでの間、財産分与の請求が可能です。

(5)財産分与の方法

財産分与の方法は、まずお互いに話し合うことが必要です。
話し合いの方法は、直接話し合うことが一番ですが、既に別居しているなどで直接話し合えない場合は、メールやメッセンジャー、LINE等でも構いませんので、証拠が残るようにして相手に伝えましょう。

伝える内容は、財産分与請求をするということと、その内容及び金額です。
相手が、財産分与についての話し合いに応じるのであれば、以下の流れで話し合っていきましょう。

1.財産分与の対象物をリストアップ
2.所有物の選別をする
3.マイナス財産について返済方法を考える

相手が話し合いに応じない場合は、まず「内容証明郵便」を送付しましょう。
内容証明郵便はご自身でも送ることができますが、難しい場合は、費用がかかりますが専門家にお願いしても良いでしょう。

ここで、話し合いとならない場合は、離婚調停~離婚裁判と流れることになります。
当事者同士での話し合いによる解決が難しい場合は、専門家にご相談なされることをお勧めいたします。

【離婚の時に返済中の住宅ローンがある場合】

離婚時に住宅ローンを返済中であった場合、その住宅ローンの残りをどうするか決めておく必要があります。
これは、単純にどちらが住宅ローンを払い続けるかといったことではありません。

現在では、不動産価値が上昇することがあまり無いため、購入時の自己資金(頭金)が少ない住宅ローンは、多くのケースでオーバーローンとなっています。
その場合は、仮に売却をしても住宅ローンの残債が残ってしまうため、その残債を一括返済できなければ売却自体ができません。
(ただし、任意売却の手続きをとることで、売却は可能です)

また、オーバーローンでない(売却額で住宅ローンの完済ができる)場合は、残った売却益は財産分与の対象となりますので、それを話し合う必要が出てきます。

一般的には、妻と子供が住み続け、夫が養育費として住宅ローンの支払いを続けるといったケースが多いかと思います。

このとき、夫が約束通り住宅ローンを完済まで支払い続ければ、住宅ローンの問題自体は無いと言えるでしょう。
ですが、完済後に夫が、自分が住宅ローンを支払ったのだから、所有者名義は自分のものだと主張すると言ったことがあり得ます。

また、途中で夫が住宅ローンの支払いをしなくなるといったケースもよく伺います。
その場合、妻に住宅ローンを支払うだけの収入がなければ、金融機関から自宅を差し押さえられる事にもなります。

このように、離婚時に返済中の住宅ローンがある場合には、後々のことも考慮してしっかり話し合い、取り決めておくことが重要です。

返済中の住宅ローンをどのようにするかについては、以下のことをしっかりと検討しましょう。

(1)調査

・まず住宅ローンの契約内容、不動産の名義、各権利関係を調べます。

(2)売るか住み続けるか

・不動産売却をして財産を手放すか、住み続けて残債の返済を続けるかを検討します。

(3)住む場合は誰が(夫or妻)住むのか

・所有の不動産に住み続ける場合、子供を含め夫が住むか妻が住むかを決めます。

(4)その場合の住宅ローンの支払いはどうするのか

・住み続ける場合どちらが住宅ローン支払っていくのか、または一括返済が可能かなどを決めます。

(5)所有者名義の変更の取り決めをどうするか

・住宅ローン返済中の所有者名義の変更は実質不可能なため、完済後の所有者名義をどのようにするかを取り決めます。

このように、まずは住宅ローンや名義が、現状どのようになっているかを把握します。
その後、仮に売却した場合、住宅ローンは完済できるのか、残債が残るのか、残る場合は幾らぐらいになるかを把握します。

仮に売却した場合の査定については、弊社でも無料で査定を行っております。
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その上で、今後どのようにしていくかの話し合いと取り決めを、しっかりなさっていくことが重要です。

 
特に上記(3)(4)(5)については、そのパターンによって課題や検討が必要なことが変わってきます。
そこで次回は、この(3)(4)(5)について、パターン別の解説をしていきたいと思います。
 

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