固定資産税と都市計画税は納税必須?不動産所有中にかかる税金とは

固定資産税と都市計画税

 

前回の記事では、不動産に関連する税金の種類と概要についてお伝えしました。
固定資産税や所得税だけじゃない!不動産にかかる税金とは?

今回は、その中でも不動産を所有している期間に毎年納めなければならない、固定資産税と都市計画税について、詳しく解説していきます。

所有しているだけで課税される税金には、固定資産税などの他に自動車税(毎年4月1日時点での自動車の所有者に課税)などがありますが、意外に知られていない税金で「別荘等所有税」というものもあります。

この「別荘等所有税」は2015年10月現在で、全国で唯一静岡県熱海市が、市内に家屋を所有している方で住民票と税申告のない方に対して1976年から課税している税金です。

実は、別荘や事業所など、住民票はないけれども家屋敷があるケースでは、その家屋敷がある市町村及び都道府県から均等割分の住民税が、行政サービスの分担分として課せられる場合があります。
都道府県や市町村により金額は変わりますが、均等割は所得に関係なく一律となっており、例えば福岡県福岡市の場合は、市民税3,500円・県民税2,000円(2014年度分)です。

熱海市の「別荘等所有税」はこの住民税の均等割とは別に、ゴミ処理や上下水道の整備などの負担分として、延床面積1㎡につき年額650円が課せられます。
固定資産税の場合は建物の価格に応じて課税されますが、この別荘等所有税は延床面積に応じて課税されるため、二重課税というわけではありません。

この別荘等所有税はレアケースですが、これ以外にも不動産の所有に関わる税金として、特別土地保有税(一定面積以上の土地を取得したり保有しているときに課せられる税金)、地価税(一定価格以上の土地をもっているときに課せられる税金)というものがあります。
ただしこの2つの税金は、現在は課税が停止されているため、2015年時点では納める必要はありません。

このように、実は固定資産税と都市計画税以外にも不動産に課される税金はあるのですが、現時点で不動産所有中に毎年納める税金としては、固定資産税と都市計画税の二つと考えて問題はありません。

それでは、まず固定資産税についてお話ししていきます。
なお、固定資産税及び都市計画税は地方税ですので、公共自治体により内容や税率が異なる場合があります。
ここでは、特に記述をしていない場合、福岡県福岡市の固定資産税及び都市計画税についてとなりますのでご了承ください。

【固定資産税】

(1)課税対象

土地・・・ 田、畑、宅地、山林、雑種地など
家屋・・・ 住宅、店舗、事務所、工場、倉庫など
償却資産・・・ 事業のために用いることができる構築物、機械、車両、器具、備品など

このうち、償却資産は事業のために用いる物となっていますので、基本的には法人や個人事業主の申告により課税されます。
従って、不動産を所有している個人に対する課税は、土地と建物に対してということになります。

(2)納税義務者

毎年1月1日現在、市内に固定資産を所有している方で、登記簿や課税台帳などに登記、または登録されている方が納税義務者になります。

ポイントは1月1日に登記、または登録されている方が納税義務者になるという点です。
例えば、1月1日までに土地や建物の売買が成立していたとしても、登記が行われていない場合は、旧所有者が納税義務者となります。

(3)固定資産税の算出方法

土地・家屋・償却資産はそれぞれ別に計算されますが、算出方法は次の式の通りとなります。
「課税標準額」×「1.4%(税率)」=「固定資産税額」

税率は固定ですので、課税標準額により税額が変わるということになります。
この課税標準額は実際の売買価格というわけではなく、また土地と建物でそれぞれ求め方が異なります。

また、3年に1度(具体的には平成27年度、平成30年度と3の倍数年度)見直しが行われます。
さらに土地については特例措置や負担調整措置があるため、それらの対象の土地についてはそれぞれの措置が適用された後の額が課税標準額となります。

家屋については課税標準額ではなく、算出後の固定資産税額から特例により減額される物があります。
また課税標準額が、30万円未満の土地、20万円未満の家屋、150万円未満の償却資産については免税により課税されません。

(4)土地の課税標準額について

まず、課税標準額の基となる評価額が算出されます。
この評価額の算出方法は、地目(宅地や農地、山林など)により異なりますが、宅地の場合は地価公示価格や不動産鑑定士が行った鑑定評価価格を基礎とした標準宅地の適正な時価に基づき決定されます。

概算で、公示価格の約70%の金額が評価額となります。この評価額が課税標準額となりますが、宅地については軽減措置が適用された後の額が、課税標準額となります。
宅地の軽減措置については以下の通りです。

・住宅用地の特例措置
200㎡までの住宅の場合、6分の5の減額(評価額×6分の1=課税標準額)。
200㎡を超える部分について、3分の2の減額(評価額×3分の1=課税標準額)。
・宅地等の負担調整措置
1994年以前は、公示価格の20~30%が評価額となっていましたが、この年に評価額の大幅な引き上げが行われ、公示価格の70%と約3.5倍になりました。
これをそのまま適用した場合、税負担が急に増すことになるため、毎年少しずつ課税標準を引き上げていく措置が負担調整措置となっています。
具体的には前年度の課税標準額を基に、今年度の課税標準額が決めることで税負担が急増しないように調整されており、この調整方法は3年ごとに見直されます。
また、宅地だけではなく商業地や農地などにも負担調整措置が適用されます。

(5)建物の課税標準額について

建物についても、土地と同じく評価額を基に課税標準額が算出されます。
建物の場合は、同じ物を同じ場所に新築した場合の建築費に、経年による減価の補正率を乗じた額が評価額となります。
建物については、新築住宅とリフォーム住宅について、以下の固定資産税減額措置があります。

新築住宅について
2016年3月までの新築物件で、住居部分が120㎡までの部分について3年間、3階建以上の耐火構造住宅・準耐火構造住宅は5年間、長期優良住宅の場合はそれぞれ5年間と7年間、減額措置が適用され、固定資産税は2分の1となります。
リフォーム住宅について
昭和57年1月1日以前からある住宅の耐震改修については固定資産税の2分の1、平成19年1月1日以前からある住宅のバリアフリー改修、平成20年1月1日以前からある住宅の省エネ改修については、それぞれ固定資産税の3分の2に減額されます。
条件の詳細はご確認ください。
固定資産税 税額の算出方法(家屋) | 福岡市

(6)納税の方法について

都市計画税とともに納税通知書が届けられます。
この納付書に基づき年4回に分けて納めます(一括納付も可能です)。
福岡市の場合、4月・7月・12月・2月が納税月となっています。

【都市計画税】

都市計画税とは、固定資産税の納税義務者のうち、市街化区域内に不動産を所有している方に課せられる税金です。
福岡市の場合、所有する不動産が市街化区域内にあるかどうかは、以下のページで確認することができます。

福岡市都市計画閲覧システム
※ 所有する不動産の場所をクリックすると、都市計画情報一覧が表示されます

都市計画税の算出方法は「課税標準額」×「0.3%(税率)」となっています。

土地については、固定資産税と同じく特例措置適用後の額が課税標準額となりますが、減額の率が違いますので注意してください。
200㎡までの住宅の場合、3分の2の減額(評価額×3分の1=課税標準額)。
200㎡を超える部分について、3分の1の減額(評価額×3分の2=課税標準額)。

また土地の負担調整措置は、固定資産税と同様に適用されます。
建物の減額措置はありません。

納税については、固定資産税と一緒に納税通知書に基づいて納めます。

 

以上、不動産に一番関わってくる固定資産税と都市計画税について、解説いたしました。
税金については、その仕組みや軽減措置などが毎年のように変更されます。

そのため、詳細については税理士などの専門家にご確認なさることをお勧めいたします。

次回は、不動産の売買に関わる税金について解説していきたいと思います。

 

 

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