離婚で不動産の所有名義はどうなるの?財産分与と名義変更の問題点

財産分与と名義変更の問題点

 

前回のブログでは離婚時における住宅ローンの名義変更に関する問題点についての解説と対処法についてお伝えいたしました。
離婚で、住宅ローンの名義は変更できる?問題点をパターン別に解説!

その記事でも書いたとおり、住宅ローンの名義と不動産の所有者名義は、分けて考える必要があります。
そこで今回は、離婚時に不動産の所有者名義を変更したい場合、どのようにすればよいのかについてお話ししていきます。

本来、不動産の所有者名義は、住宅ローンの返済中であっても変更することは可能です。
しかし、実際には住宅ローンを組んでいる金融機関(銀行など)との契約で、「所有者名義を変更する場合は、事前に承諾を得る必要がある」とされている場合がほとんどです。

従って、住宅ローンの契約を交わしている金融機関の承諾を得ることができれば、所有者名義の変更はできるのですが、実際には住宅ローンの返済途中で、所有者名義の変更に応じてもらえることはまずありません。

その場合、不動産を財産分与で譲り受ける側の名義への住宅ローンの名義変更や、住宅ローンの借り換えが可能であれば、同時に所有権移転登記も行うことで、不動産の所有者名義の問題は無くなります。

ただし、これも前回の記事でお伝えしたように、容易ではありません。

このように、所有者名義の変更は慎重に考える必要がありますが、面倒なのでひとまず後回しということにしておくと、それはそれで後々トラブルになる可能性が出て来ます。
では、この住宅ローンが返済途中の不動産の所有者名義は、離婚による財産分与の時にどのようにしておけば良いのでしょうか。

そこで今回は、住宅ローン返済中の不動産を、財産分与による所有者名義変更する場合と、住宅ローンがない不動産の、財産分与による所有権移転登記についてお話しします。

今回も便宜上、夫の所有権を妻に移転する場合として書きますが、逆の場合は夫と妻を置き換えてご理解いただけますと幸いです。

【住宅ローン返済中の不動産の財産分与について】

現在の不動産名義が夫のみ、もしくは夫と妻の共有名義となっていて、離婚による財産分与により、妻が不動産を譲り受けることになった場合、不動産名義も変更しておく必要があります。
しかし、前述したとおり、住宅ローン返済中の不動産の所有者名義を変更することは容易ではありません。

仮に、住宅ローンの金融機関に承諾を得ず、所有権移転登記により所有者名義を変更した場合、住宅ローンの返済がきちんと行われている間は、特に問題になることはないでしょう。
しかし、住宅ローンの返済が滞ったり、返済ができなくなった場合には、金融機関に無断で所有者名義を変更したことを理由に、一括返済を迫られるといったこともあり得ます。

また、住宅ローンの返済中は変更が難しいということで、不動産所有名義について離婚時に取り決めなかった場合や、曖昧な約束のままにしておいた場合はどうでしょうか。

実際にこれまであった例としては、住宅ローンの完済後に元夫が「住宅ローンを支払ったのは自分だから所有権も自分にある」と主張してきた、また途中でローンの返済できなくなったため承諾を得ずに売りに出してしまった、といったことがありました。

このように、住宅ローン返済中の不動産を財産分与するケースでは、所有権を簡単には変更できないのですが、かといって何も対策をしなかった場合もずっとリスクが付いて回ることになります。

そのため実務上は、住宅ローンを完済するまでは所有者名義をそのままにしておき、完済後に所有権移転登記を行い所有者名義を変更するという約束を離婚協議書に盛り込み、これを公正証書にしておくという手法がとられています。

この公正証書は、住宅ローンの完済後に所有権移転登記を行うにあたっての登記原因(離婚による財産分与の登記であるということ)を証明するために必要となる場合がありますので、そのためにも有効な手段です。

また、より確実性を持たせたい場合に、仮登記(所有権移転請求権仮登記)という手続きもありますが、実際にはここまでなされることはほとんど無いようです。

【住宅ローンがない(完済している)不動産の財産分与について】

住宅ローンを既に完済しているなどで、抵当権が付いていない不動産の場合は、所有権移転について大きな問題はありません。
離婚時の財産分与の話し合いで決まった通りに、所有権移転登記を行うことで、不動産の所有権は変更(移転)されます。

ただし、注意点をあげるとすれば、「財産分与」を登記原因として所有権移転登記を行う場合、登記原因の日付は協議離婚の届け出日、もしくは離婚届け出後の財産分与協議成立日となることです。
これは簡単に言うと、離婚の届け出前に、離婚の財産分与による所有権移転登記はできないということです。

一見、当たり前のことのように思えますが、いざ離婚するという時、お互い冷静で前向きに話し合い、一定の信頼関係を残したまま離婚に至る場合は、離婚後に所有権移転登記をすることにお互い異論は出ないでしょう。
しかし、相手が信頼できない、また憎しみ合うような形での離婚となった場合、離婚後に所有権移転登記をするということを口約束だけでは信用できないといったケースもあるようです。

その場合は、やはり弁護士など専門家を介して離婚協議書を交わしておくなど、お互いに納得がいく形をとられておくことをお勧めします。

また、財産分与のタイミングは税金の問題も考えておく必要があります。

例外はありますが、通常、財産分与を受ける側(この場合は妻)には贈与税や不動産取得税は発生しません。
(譲り受ける財産が相場と比較して多すぎると判断された場合、その多すぎる部分について課税される場合があります)
しかし、財産を渡す側(夫)には譲渡所得税が発生するケースがあります。

これは、不動産購入時の価格より譲渡するときの価格が上がっていた場合に、その差額が譲渡所得となるためです。
この場合、3,000万円までは控除されますが、この控除が夫婦間や親子間の場合には適用されません。
従って、離婚して他人同士になった後でなければ、この控除を利用することができません。

もっとも、現在では不動産価値が上昇しているケースは少なく、多くの場合は購入時より不動産価格が下がっています。
その場合は譲渡所得が発生しませんので、譲渡所得税も課されることはありません。

これ以外に、婚姻期間が20年以上の夫婦が居住用資産を贈与する場合は、贈与税に関して2,000万円の配偶者控除があります。
この場合、基礎控除の110万円を加えて2,110万円までは非課税となります。

この配偶者控除を利用する場合は、離婚前に2,110万円以内の分を贈与しておく必要があります。
もっともこのケースも、相場と比較して高額な不動産を譲り受ける場合などに限りますが(相場とされる財産の場合はそもそも贈与税が発生しないため)、もし該当する場合は注意しておかれた方が良いでしょう。

 
以上のように、離婚による財産分与を行う場合には、住宅ローンの名義の他に、不動産所有者名義についてもしっかりと話し合って取り決めをしておく必要があります。

また税金の問題については、上記以外にも住宅ローン控除の問題などもありますので、次回以降の記事にて詳しく書いていきたいと思います。
 

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