離婚と住宅ローンの残債|任意売却の窓口 福岡無料相談室

離婚時の住宅ローン残債について

 
離婚と住宅ローンの問題は切り離せない問題です。離婚後の住宅ローンを誰が支払うかきちんと把握していますか?

厚生労働省の平成21年度の調査によると、別居を始める年齢は男性・女性ともに30~34歳が最も多いとされています。30代前半の夫婦が自宅を所有しているのならば、その住宅ローンは支払中のものが多いでしょう。

そうすると、離婚時には住宅ローン残債の支払いを誰がするか理解しておく必要があるはずです。

住宅ローンは誰が返済するか?まずは原則を確認

夫婦が一緒に暮らしている場合には、お財布が共通ですから、どちらが返済するか、あまり厳密に考える必要はありませんでした。

しかし、離婚や別居となると別々に生計を立てていかなければなりません。

住宅ローンは、当然のことですが借金です。借りたお金ですから、借りた人が返さなくてはなりません。

つまり、住宅ローンは誰の名義で金融機関から借りたかを基準にして、返済する義務を負う人(=債務者)が決まります。

一般的に夫の名義で住宅ローンの借り入れをしている場合が多いのですが、その場合には、夫が離婚後も返済する必要があります。

妻名義で住宅ローンを借りていれば、妻が債務者ですから、妻が住宅ローンの返済をする義務を負います。

このように、夫婦の一方が連帯保証人になっていない場合には、単純に夫婦のどちらかが住宅ローンを返済することになります。

住宅ローンを組む際に、夫婦の一方が連帯保証人になっている場合はどうでしょうか。

連帯保証人になると、住宅ローンの名義人になっていない夫婦の一方も、債務者と同等の義務を負うようになります。

そうすると、住宅ローンの名義人が支払いを行わなかった場合、連帯保証人にも請求が来るようになります。

ここで注意して欲しことがあります。離婚後の住宅ローンの残債支払いを夫婦で半分ずつ支払うなど、自分たちだけで約束しても銀行との住宅ローン契約に影響を及ぼしません。原則どおりの請求が来てしまいます。

夫婦のどちらも住宅ローン残債の支払をしないときには、銀行などの金融機関は、裁判所に不動産の競売を申し立てます。もし、そこに夫婦の片方が離婚後も住んでいた場合には、競売終了後に強制退去となります。

○ オーバーローン状態の自宅を売却した場合にはどうなるか?

オーバーローン状態とは、自宅が売却できる金額より、住宅ローン残債の方が多い状態をいいます。つまり、自宅を売っても借金は残る状態です。

一般に新築マンションなどは建設や販売に関わった会社の利益が乗せられていますから、購入した時点で、価格が下落します。

その結果、離婚の際はたいていの自宅がオーバーローン状態です。

オーバーローン状態の物件の販売方法は、現金でローン残債と自宅の売却価格の差額を補てんするか、任意売却しかありません。

現金を補てんして住宅ローンの残債を補てんした場合には、ローンは完済となり、残債の問題は生じません。

任意売却の場合には、住宅ローンの残債を支払っていく必要があります。

住宅ローン残債の返済をしなくてはいけないのは、原則通り住宅ローンの名義人です。連帯保証人になっている方の義務を消滅することはありません。

ただし、任意売却をした場合には、金融機関と残債の支払について協議の上、月々の支払額を無理のない額に変更することができます。

 まとめ

  1. 離婚後も、住宅ローンは、ローンの借り入れ名義人が残債を支払う必要がある。
  2. 夫婦間で離婚の際に協議して返済の分担などを変更しても、銀行にはそれを主張できない。

離婚と住宅ローンの3つの注意点

知らずにやってしまったら取り返しのつかない離婚と住宅ローンの3つの注意点

ご夫婦が離婚するとき、お二人が婚姻中に取得した住宅や不動産をお持ちの場合、必ず話し合わなくてはならないことがあります。

それは、まずどちらがその住宅に住み続けるのか?

それとも住宅を売却してお金を分けるのか?と言ったこの2点です。

この2点に関しては、なかなか話がまとまらないケースがよく見られます。

住宅ローンが残っているご夫婦の場合、離婚と不動産の問題には気を付けるべき点がありますので、ここで、離婚する際の住宅ローンについて注意点をご確認ください。

1.離婚時に住宅ローンが残っている場合

住宅ローンが残っている場合は、夫婦であっても勝手に名義の変更などは出来ません。

住宅ローンが残っている不動産は、住宅ローンを借り入れるときに結んだ契約よって縛られていますので、その住宅の持ち主であるご夫婦が離婚するからといって、夫から妻に勝手に名義を変更したり、住宅ローンの名義人である夫が、その住宅から出て行ってしまったり、ということは原則として出来ません。銀行によっては住宅ローンの残債を一括請求されてしまう場合があります。

夫婦の片方が連帯債務者になっているケースでは、離婚しても連帯債務者としての責任からは逃れられません。

住宅ローンの連帯債務者は、住宅ローンの借主(債務者)と同じ責任を債権者(銀行など)に対して負うこととなっています。

つまり、銀行としては、債務者と連帯債務者のどちらでも住宅ローンの返済を請求することができるわけなのです。

連帯債務者となる契約は、連帯債務者と銀行とが直接結ぶものですので、お二人の離婚とは一切関係がないといわれるわけなのです。

2.離婚後も住み続けるリスク

例えば、住宅ローンも不動産も夫名義の不動産になっている住宅に妻が住み続けるのは非常にリスクが高いと言えます。

離婚の際、オーバーローン状態の住宅ローンをどう扱うかは色々なパターンが考えられるのですが、相談時にもっとも多いご希望が、住宅ローンも不動産も夫名義になっている物件に離婚後も妻が住み続けたいというケースものです。

非常に先行きが不透明でリスクが高いため、おすすめ出来ません。

この場合、夫が不動産から引っ越し、住宅ローンを負担し続ける約束をして離婚することになります。

もちろん、約束したときは、ずっと住宅ローンを支払い続けるつもりに違いありません。しかし、年月が流れ、収入の変化や再婚などによって、離婚時とは事情が変わってしまう可能性があることを十分に考慮すべきです。

支払いたくとも支払えないという状態は十分に考えられるのです。

そうなれば、住宅ローンの滞納となって、結局、不動産は競売にかけられてしまいます。

3.離婚と住宅ローン問題の解決方法

実は、ご夫婦がとることの出来るもっともリスクの少ない選択肢はたった一つしかありません

シンプルに不動産を売却し、離婚時に住宅ローンを返済することです。

不動産を売却して住宅ローンを完済できるのならば、離婚後の生活を安心して送ることができるでしょうし、オーバーローンになっている場合には任意売却が最適です。

離婚の際の不動産の名義と住宅ローンの取り扱いの注意点

離婚の際、ご夫婦で暮らしていた自宅に妻とお子さん達が残り、夫が住宅ローンの返済を続けるという合意をする、こういったケースを頻繁に見かけます。

しかしこの解決方法は、やはり後々トラブルになるケースが多いと感じます。

再婚や転職など元夫の生活状況が変わり、住宅ローンの支払が約束どおりに出来なくなる…、そこから競売になって…、という流れは、不謹慎ではありますが、まだトラブルの中では元ご夫婦が直接争っていない分だけマシな方と言えるかもしれません。

競売の申し立てや立ち退きは、債権者である銀行や裁判所が行うからです。

例えば、元夫が突然、自分名義だからといって不動産を売却しようとするなんてケースもあるのです。

売るので出て行って欲しいと急に通告されてしまい、「離婚のときの約束と違う!」と激しい対立が起きてしまいます。

離婚時に、不動産を譲渡するという約束をしていたとしても、不動産の登記上の名義人である元夫が売却するのを止めようとすれば、裁判所を使って売却の差し止めや、自宅の所有者は自分だという証明をしなければならないのは、自宅に居住している方なのです。

退去を通告されたのが、既に売却後だったという場合には、不動産を譲り受けた第三者(元ご夫婦にとっては全くの他人です)が関わってくるため、事態はさらに複雑化してしまします。

便宜上、夫が売却するというケースを取り上げていますが、立場が逆の場合もあるでしょう。

冒頭のように不動産の名義を変えず、夫婦の一方が住み続け、自宅を出た方が住宅ローンを払い続けるという選択をする方は、リスクをきちんと理解して行動することをおすすめします。

一度、合意した内容そのものと、約束がいつまで現実問題として守られるのかを慎重に考えてみてはいかがでしょうか?
 

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