前回は不動産登記に必要な登録免許税についてお話ししました。
登録免許税について – 不動産売買時に必要な税金その2
今回は、不動産購入時に課税される不動産取得税と消費税について書いていきたいと思います。
【不動産取得税】
不動産取得税は、文字通り不動産取得時に課税される税金で、都道府県に納税する地方税です。
同じように、取得時に課税される税金は、他に「自動車取得税」などがあります。
不動産購入時以外にも、贈与を受けたり交換した場合などにも課税されますが、相続時や取得した土地の価格が10万円未満の場合などは非課税です。
また、住宅を新築したり増改築した場合にも課税されます。
税額は固定資産税や登録免許税と同じく、固定資産課税台帳に登録された価格が基準(課税標準)となります。
従って、実際に購入した価格とは異なりますので注意しましょう。
(目安としての課税標準額は、建物は購入価格の約50%~60%、土地は購入価格の約70%と言われています)
税率は4%ですが、2018年3月31日までに取得した不動産については軽減税率として3%が適用されます。
不動産取得税には、固定資産税や登録免許税と同じように特例による軽減措置があります。
ただし、軽減措置を受けるには申告手続きを行っておくことが必要です。
以下は福岡県の不動産取得税についての解説です。
課税対象となる人
- ・家屋を購入、新築、増築、改築、交換、贈与などにより取得した人
- ・土地を購入、交換、贈与などにより取得した人
税額
- 固定資産課税台帳に登録された額(課税標準)×税率4%※ 2018年3月31日までに取得した土地と住宅用の家屋は税率3%
※ 新築など固定資産課税台帳に登録がない場合は、固定資産評価基準により課税標準額を算出
福岡法務局管内新築建物課税標準価格認定基準表
非課税または免除の対象
- ・相続
- ・法人の合併または一定の要件を満たす法人の分割による不動産の取得
- ・公共の用に供する道路及び水道用地、もしくは墓地などの用に供する土地の取得
- ・土地区画整理法による土地区画整理事業の施行に伴う換地を取得
- ・取得した土地の価格が10万円未満
- ・家屋を新築(増築・改築)した価格が23万円未満
- ・家屋を売買・交換・贈与等により取得した価格が12万円未満
特例による軽減措置
-
○ 新築住宅・新築未使用住宅〈一戸建て、新築マンション)とその土地
以下の要件を満たす住宅と、その土地に対して適用されます。
- ・床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅とその土地
- ・土地先行取得の場合は、土地の取得から3年以内に新築した住宅
- ・建物建築先行の場合は、新築1年以内に取得した土地
- 新築住宅等の軽減措置
- 住宅の価格(課税標準)から1,200万円 を控除(価格が1,200万円未満であるときはその額)
- 長期優良住宅が認定された場合は1,200万円 を控除→1,300万円 を控除となります
- 新築住宅等の軽減措置を受けた場合の税額計算式
- (課税標準額-最大1,200万円 ※長期優良住宅は1,300万円)× 税率3%
- 土地の軽減措置
- 下記AかBの多い方の金額
- A=45,000円
- B=(土地1㎡当たりの課税標準額×1/2)×(床面積×2(200㎡上限))×3%
- 土地の軽減措置を受けた場合の税額計算式
- (課税標準額×1/2×税率3%)- 上記控除額
-
○ 中古住宅〈一戸建て、中古マンション)とその土地
以下の要件を満たす住宅と、その土地に対して適用されます。
- ・取得した人が自己の居住の用に供すること
- ・床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅とその土地
- ・土地先行取得の場合は、土地の取得から1年以内に取得したその土地上の住宅
- ・建物建築先行の場合は、その土地上の住宅取得1年以内に取得したその土地
- ・次のア~ウのいずれかに該当することア)1982年(昭和57年)1月1日以降に新築されたもの
イ)1981年(昭和56年)12月31日以前の新築分で、新耐震基準に適合していることが建築士等から証明されたもの
ウ)1981年(昭和56年)12月31日以前の新築分で、2014年(平成26年)4月1日以降に取得し、取得した日から6月以内に耐震改修を行い、新耐震基準に適合していることについての証明を受け、自己の居住の用に供したもの
- 中古住宅の軽減措置
- 住宅が新築された時期に応じて、住宅の価格(課税標準)から下記の額を控除
-
新築年月日(上記アに該当の場合) 控除額 1982年(昭和57年)1月1日~
1985年(昭和60年)6月30日420万円 1985年(昭和60年)7月1日~
1989年(平成元年)3月31日450万円 1989年(平成元年)4月1日~
1997年(平成9年)3月31日1,000万円 1997年(平成9年)4月1日~ 1,200万円 ※上記イ・ウについては県税事務所にお尋ねください
- 中古住宅の軽減措置を受けた場合の税額計算式
- (課税標準額-上記控除額)× 税率3%
- 土地の軽減措置
- 下記AかBの多い方の金額
- A=45,000円
- B=(土地1㎡当たりの課税標準額×1/2)×(床面積×2(200㎡上限))×3%
- 土地の軽減措置を受けた場合の税額計算式
- (課税標準額×1/2×税率3%)- 上記控除額
不動産取得税の申告
- 取得したときから60日以内に、取得した不動産の所在市町村を通じて県税事務所に申告します。
- 軽減措置を受けるには申告が必要です。
不動産取得税の住宅軽減措置申請用・不動産取得税申告書(住宅控除用)・住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額(還付)申告(申請)書 | 福岡県電子申請 - 申告手続きを忘れて、軽減処置を受けずに不動産取得税を払い終えていた場合、5年以内であれば手続きをすることで軽減処置分が還付されます。
不動産取得税の納税
- 県税事務所から送付される納税通知書にて納税します。
福岡県の不動産取得税については、福岡県のホームページにも詳細が掲載されています。
不動産取得税 | 福岡県庁
県税事務所および相談窓口の所在地 | 福岡県庁
【消費税について】
不動産を購入したときの消費税は、かかる場合とかからない場合があります。
消費税は「事業者が(事業として)対価を得て行なう資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供」に対して課税されることとなっているためです。
従って、不動産会社などから不動産物件を購入した場合には、その購入額に対して消費税がかかりますが、個人取引であれば消費税はかからないということになります。
消費税が課税されるケース
- 不動産会社などの事業者から新築マンションや建売住宅を購入するとき
- 不動産会社などの事業者から中古マンションや中古戸建て住宅を購入するとき
- 不動産会社などの事業者から土地を購入するとき
消費税が課税されないケース
- 事業者ではない個人から中古マンションや中古戸建て住宅・土地を購入するとき
- 個人事業者が生活のために使用している住宅を購入するとき
- ※ 不動産業者が仲介した場合は仲介手数料に対して消費税がかかります。
消費税は8%(2015年現在)ですので、例えば物件の価格が3,000万円であれば、消費税は240万円となります。
住宅ローンで購入する場合は、その240万円にも利息がかかりますので、最終的には400万円ほど負担する計算になります。
不動産取得税は、申告すれば実質的に非課税と同じ効果が得られます。
消費税は、その負担を考えたら、中古物件の方がコストパフォーマンスがよい場合もあるのではないでしょうか。
不動産購入の前には、物件の価格だけではなく、課税される税金も考慮して検討なされることがお勧めです。