住宅ローンを滞納した状態が一定期間続くと、借入先である金融機関は裁判所に対して競売開始の申し立てを行います。競売開始の申し立てがなされてしまうと、任意売却を行う時間的猶予がなくなります。
また、競売での売却予測額が比較的高額になると予想されるときには、金融機関が任意売却に同意しない可能性もでてきます。
さらに、競売申し立ての費用として、売却した金額から債務とは別にこれを徴収される事になります。(物件により費用は異なりますが、通常のマンションなどの物件で約60万ほどです。)
手遅れになってしまう前に、何らかの対策を行い最悪の事態を防止しましょう。
ご存知のとおり、住宅ローンは毎月の返済日が決められています。
万が一、この返済日に住宅ローンを返済できなかった場合、金融機関から督促を受けることになります。
督促の方法も、実に様々なものがあります。
電話による支払いの催促や返済をお願いする督促状などなど状況に応じて督促の方法も異なります。
督促状は、住宅ローンの返済を求める、かなり効力の強い請求書です。
金融機関によっては、同じ文面の督促状が何度も送られてきたり、日を改めて、最終督促状などが送られてきたりする場合もあります。
これは、住宅ローンなどの滞納が続いている場合に、金融機関が競売申し立ての権利を行使するためには欠かせない書類です。
住宅ローンを2ヶ月間滞納した場合
住宅ローンの滞納が2ヶ月続くと、信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に延滞情報が記録されてしまいます。そのため、新たな借り入れやカードの発行などが難しくなります。
この場合、通常通常5年程度は新たな与信が受けられません。破産の場合はさらに長く8~10年程度と言われます。
都市銀行などで住宅ローンの借り入れを行っている場合は、他金融機関と比べて手続きが比較的速やかに行われます。
この段階で、金融機関から競売の申し立てをされる場合もあるのです。
それでも、住宅ローンの滞納を放置しておくと、催告書が送られてきます。
催告書の文面は、借入先の金融機関によっても異なります。
催告書の内容は、”指定された期日までに滞納した分の住宅ローンを、一括で返済しない時は法的手続きを取る”という内容のものが一般的です。
催告書は、競売を見据えた銀行や信用金庫からの最終通告です。
文面内容も、それまでの督促状と比較しても、かなり厳しい表現が使われます。
内容証明郵便で届けられることも珍しくありません。
この時、債権(借り入れ金)は、住宅ローンを借りた金融機関から保証会社へと移行してしまうのです。
住宅ローンを6ヶ月間滞納した場合
住宅ローンの滞納が続き、催告書や督促状が届いても何の対処もせずにいると、金融機関から期限の利益の喪失に関する予告書や通知書が送られてきます。
住宅ローンに限らず、金融機関からお金を借りる場合、金銭消費貸借契約という契約を行います。
そして、ローンを分割して返済できることを、期限の利益と呼びます。
何らかの事情でローンの返済を滞納すると、金銭消費貸借契約違反となってしまうのです。
違反をした場合、期限の利益を喪失し、残りの借金を一括で返済しなければなりません。
場合によっては、数千万円もする金額を短期間で用意することが求められます。
もちろん、住宅ローンを6ヶ月間滞納している状態での一括返済は、現実的にかなり困難かと思われます。
このような状況になってしまった場合、金銭消費貸借契約を交わした際に、同時に契約をした保証会社が債務者に代わって金融機関に一括で返済を行います。
この手続を代位弁済と呼びます。代位弁済が済んだ後は、保証会社ではなく、債権回収会社(サービサー)が窓口になることもあります。
住宅ローンを7ヶ月間滞納した場合
住宅ローンを滞納した状態で、半年以上経つと打てる手段は無くなってしまいます。
「滞納分をまとめて払いたい」と金融機関に相談しても、ほとんど相手にされることはないでしょう。
そのままにしておくと、金融機関から裁判所に申し立てがなされます。
すると、競売の手続きが自動的に進められてしまうのです。
競売になると、最後は裁判所によって強制的に家を追い出され、退去しなくてはなりません。
しかも、競売が済んだからといって、家を失っても実はそれで終了ではありません。
家の売却額が、住宅ローンの残金に届かなかった場合、不足額が借金となります。
これにより、苦しい生活を強いられることになるのです。
債務整理をすることで、免責が受けられるかもしれません。
しかし、一度深みにはまってしまったら、そこから抜け出すことが難しいのです。
もちろん、住宅ローンを滞納することがなければ、問題はありません。
まずは、計画的なマネープランを導入した生活を心がけることが大事です。