近所に内緒で任意売却は可能?任意売却での広告活動と秘密厳守

任意売却での広告活動と秘密厳守

 
任意売却についてのご相談やご依頼をいただく中で、お客様のご不安な点として、「ご近所などに引っ越し理由を知られることなく引っ越したい」ということをお伺いすることがあります。

もちろん最終的に引っ越した時点で、ご近所に「売却した」という事実は隠せませんが、「売却した理由」を知られたくないと考えられるのは当然だと思います。

実は任意売却に限らず、一般の不動産売買でも、ご近所から余計な詮索をされたくないなどの理由から、なるべく知られないようにしたいとご希望なさるお客様は多くいらっしゃいます。

ご近所に引っ越しの理由を知られることなく引っ越せることは、任意売却のメリットの一つです。

任意売却のメリット

任意売却であれば、通常の不動産売買と同じように、売主の方のご希望を伺って、情報公開範囲を限定することも可能です。

また私ども「任意売却の窓口」では、顧客として買主となっていただける投資家の方々とネットワークがあります。

任意売却の手続きはスピードも求められるため、買主となっていただけると見込める投資家の方だけに情報を公開し、そこで売買契約が決まれば、秘密の厳守とともにスピード解決も可能な体制となっています。

ただし、どのような案件でもこういったことが可能なわけではありません。

任意売却に限らず通常の不動産売買では、より早くより良い条件で購入していただける買主の方を探すために、広告活動は必要だといえます。

また、「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」による不動産仲介契約では、「レインズ」と呼ばれる不動産会社が加盟した不動産情報ネットワークにより、物件情報を広く公開することが義務づけられています。

もっとも、任意売却でしたら通常の不動産売買と同じように扱いますので、物件情報は掲載されてもその売却理由については秘密にできます。

また、正規の不動産業者は「宅地建物取引士」の資格を持つ宅建業者として、「宅地建物取引業法」を遵守しなければなりません。

「宅地建物取引業法第45条」に業務上知り得た秘密は守る義務があるとされています。

(秘密を守る義務)

第四十五条  宅地建物取引業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。宅地建物取引業を営まなくなつた後であつても、また同様とする。

宅地建物取引業法第四十五条 | 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

そのため、任意売却であることはもちろん、任意売却に必要な債権者との情報や、住宅ローン以外の債務状況などを、売主であるお客様の許可なく外部に漏らすことはありません。

このように、任意売却では、法令を遵守し守秘義務を守って広告活動を行っていきます。

そこで今回は、宅建業者の守秘義務と広告活動について、また任意売却でご近所などに引っ越し理由を知られないためのポイントなどをお話ししたいと思います。

宅建業者の守秘義務とは

前述の通り、不動産業者には「宅地建物取引業法第45条」の守秘義務があります。

この守秘義務は、例えば医者や弁護士などにも課せられており、業務上知り得た秘密を漏らすと罪に問われる場合もあります。

宅建業者に向けては、国土交通省より「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」として以下の通達が出されています。

第45条関係

法第45条及び第75条の2の「正当な理由」について
法第45条及び第75条の2に規定する「正当な理由」としては、以下のようなものが考えられるが、なお「正当な理由」に該当するか否かは、個別具体の事例において判断する必要があると考えられる。

  • (1) 法律上秘密事項を告げる義務がある場合
    裁判の証人として証言を求められたとき、税務署等の職員から質問検査権の規定に基づき質問を受けたとき等が挙げられる。
  • (2) 取引の相手方に真実を告げなければならない場合
    取引事例を顧客や他の宅地建物取引業者に提示することは、宅地建物取引業者が法第34条の2第2項の規定による義務を果たすため必要な限度において「正当な理由」に該当する。
    なお、法第47条は宅地建物取引業者に対し、重要な事項について故意に事実を告げなかったり、又は不実のことを告げる行為を禁止しているが、これは取引の関係者に対して取引上重要なことであれば真実を言う義務があることを示したものである。
  • (3) 依頼者本人の承諾があった場合
    依頼者本人の承諾があった場合は、依頼者の利益を故意に損なうことがないので守秘義務の対象外である。
  • (4) 他の法令に基づく事務のための資料として提供する場合
    地価公示法第2条に規定する標準地の価格の判定及び国土利用計画法施行令第9条に規定する基準地の標準価格の判定のための資料として、そのための鑑定評価を担当する不動産鑑定士又は不動産鑑定士補に不動産取引事例を提供する場合が挙げられる。

任意売却を進めるにあたり、上記(2) の「取引相手に真実を告げなければならない場合」はほとんどのケースで当てはまります。

通常の中古不動産売買では、売主が瑕疵担保責任を負いますが、任意売却は原則として免責されます。このため任意売却であることを買主に理解してもらう必要などがあるからです。

任意売却と瑕疵担保責任。自宅を売却した後、瑕疵が見つかったら?

ただし、任意売却物件であると言うこと以外の、売主の方の個人的な事情などについては、当然ですが買主の方に伝えることはありませんのでご安心下さい。

競売の事実をご近所に知られる可能性は?

競売となってしまうと、ご近所に自宅が競売となっている事実がご近所に知られる可能性は高いといえます。

これは、裁判所が入札者を募るために競売物件情報をインターネットに公開し、誰でもその情報にアクセス出来てしまうからです。

BIT 不動産競売物件情報サイト

このWEBサイトでは、対象物件の「現況調査報告書」が「物件明細書」「評価書」とあわせた3点セットでダウンロードできるようになっています。

競売物件まる裸!競売で公開される資料「3点セット」の内容とは

「現況調査報告書」には、執行官による物件の視察と関係者(所有者や占有者など)からの聞き取り調査の結果が記されています。

また、競売物件を専門に扱う不動産会社や競売代行業者が、買主や落札希望者を募るために、自社のWEBサイトに掲載しているケースもあります。

これらの会社の中には、WEBサイトだけではなく、物件の近所に競売物件情報として購入者を募るチラシをポスティングするなど、悪質といえる行為を行う業者もいるようです。

このように、競売となった場合はそのことを秘密にするのはかなり難しいといえるでしょう。

任意売却と広告活動

本来、中古マンションや一戸建て住宅などを、より良い条件で早く売却するときは、広く広告活動を行うことが必要です。

任意売却の場合でも、一般の中古売り出し物件と同じように広告活動を行いますが、通常の不動産売却と同様、自宅を売却する理由を広告活動から近所に知られてしまうようなことはありません。

これは、中古物件を取り扱うWEBサイトや自宅にポスティングされる中古不動産販売のチラシに、売却の理由や所有者の事情などはどこにも表示されていないことでご理解いただけるかと思います。

ただ、それでもやはりご不安がある方もいらっしゃるかと思います。

任意売却では、物件の売却価格は債権者(住宅ローンなどの金融機関)の同意が必要ですので、売主の一存で決めることはできませんが、広告活動については売主の方のご希望をお伺いすることができます。

ですので、不動産会社と仲介契約を交わす前に、ご不安な点やご希望は必ず伝えるようにしてください。

また、特にご近所に知られたくないという場合は、内覧についても注意する必要があるでしょう。

中古不動産を売買するためには、任意売却に限らず内覧は必ず行われます。

この内覧についても、配慮してもらえる不動産会社や担当者を選ぶようになさってください。

 

以前は、不動産の広告活動は「看板」と「チラシ」による告知がほとんどでしたので、それだけを注意すれば近所に内緒でというのも比較的可能でした。

現在ではインターネットにより、広く情報が出回るため、これを制限するのは非常に難しいといえます。

ただ、裏を返せば、その分より早くより良い条件で販売することも可能です。

任意売却は、販売期間に余裕があればあるほど、お客様のご希望に沿った形での販売活動ができます。

まずは早めの相談だけでもご検討くださるよう、お願い申し上げます。

 

 

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