住宅ローンの支払いが難しくなり滞納してしまったら、銀行や住宅金融支援機構などの住宅ローンを組んだ金融機関より、支払い通知書や督促状、催告書などの様々な通知が届くようになります。
通知が届いた後は、催促の電話などが入ることもありますが、基本的に自宅に訪問されたり勤務先に連絡が入ったりということはほとんどありません。
このため、どうして良いか分からないといったこともあり、これらの通知をそのまま放っておかれる方も多いようです。
そのまま、通知を無視して住宅ローンを滞納したままにしておくと、やがて裁判所から競売開始決定通知が届くことになります。
裁判所から競売開始決定通知が届いて、初めて行動を起こされる方は多く、私どものお客様もこのタイミングで初めて相談にみえられる方が多いように思われます。
「 裁判所から競売開始決定通知が届いたら終わり?競売を取り下げてもらうには」
もちろん、この時点でご決断をなさって任意売却の手続きを開始されても、決して遅いわけではありません。
ですが、住宅ローンの滞納に対処するには、行動が早ければ早いほど解決方法の選択肢は広がります。
競売が開始されると、ほとんどの場合、そのまま競売か任意売却するかの2つの選択肢となります。しかし競売開始前に対処すれば、自宅を手放さずに解決する方法や、最終的に任意売却により不動産を手放すことになったとしても、より有利な条件で売却できる可能性が高くなります。
そこで今回は、住宅ローンを滞納して督促状が届いたタイミングで、どのように行動すればより良い解決ができるかについてお話ししたいと思います。
すぐに滞納を解消できるとき
住宅ローンは最長35年のローンですので、その長い期間中には一時的に支払いに困ることも出てくるかもしれません。
例えば、これまで住宅ローンを問題なく支払える収入を得ていて、収入が減ったわけではなく、一時的に出費が重なったなどで住宅ローンの支払いが滞った場合。
お子さんの進学で学費がかかったり、車の事故や故障で予定外の費用がかかってしまったなどといったことがあるかもしれません。
そういったときは、まず住宅ローンの金融機関に相談してみましょう。
住宅ローンの支払いが1回や2回遅れても、すぐに回復できると思ってそのままやり過ごしたら、後で取り返しがつかないことにもなりかねません。
一般的な借金(クレジットカードのキャッシングなど)であれば、まず督促から始まり、裁判を申し立てた上で勝訴し債務名義をとらなければ、債権者は差し押さえや強制競売などはできません。
したがって、債権者が督促状を送ってきてから、実際に強制的に回収する手続きをとるまでには、まだ時間的な猶予があります。
しかし住宅ローンは担保として抵当権が設定されていますので、債権者(住宅ローンの金融機関など)は抵当権を行使することにより、債権の回収(差し押さえから競売)を図ることができます。
つまり、債権者は回収しようと思えば、裁判を経ずすぐにでも競売の申立てができます
もちろん、実際に住宅ローンの支払いが1、2回遅れたからといって、すぐ競売の申立てをされることはないでしょう。
ただし、債権者は競売の申立てをする前段階として、必ず督促状を送付してきます。督促状による督促は法律で定められているため、必ず送らなければならないからです。
ちなみに、この後に送られてくる催告書(内容証明となっている場合もある)は、必ず送らなければならないわけではありませんが、ほとんどの金融機関は送付するようです。
もし、住宅ローンの滞納があって督促状が送られてきたら、それは競売のための手続きが一つ進んだということです。
督促状が送られてきた段階で、住宅ローンの未納分を全額納めれば、滞納前の通りの支払い方が継続できます。
ただし督促状には、いついつの期限までに滞納分全額を納めてくださいと書いてありますが、同時に返済の意思があるなら連絡するようにとも書かれています。
つまり、滞納分全額の一括支払いだけを求められているのではなく、まだ相談する余地があるということです。
ですので、滞納を解消できる見込みがあっても、すぐに未納分全額を支払うことが難しい時は、必ず住宅ローンを借りている銀行や住宅金融支援機構に相談してください。
この段階であれば、返済の一時的な減額や、返済期間の延長により月々の支払額を減らすといったことが可能な場合があります。
特にフラット35を提供している住宅金融支援機構では、このようなページを設けて、返済方法変更の申し込みを受け付けています。
住宅金融支援機構の場合、ボーナス返済の取りやめも可能ですので、ボーナス払いがなければ返済は可能な場合などでも相談してみる価値があるのではないでしょうか。
住宅ローンを提供している各銀行などほとんどの金融機関でも、リスケジュールや返済の一時的な減額に対応していますので、早めのご相談をお勧めします。
ただし、支払い方法の変更をした場合、総支払額は増えることになりますので注意が必要です。
滞納を解消できる見通しが立たないとき
例えば、失業したり転職で収入が減ってしまった。事故や病気での入院を余儀なくされ、収入の見通しが立たなくなったなど。
今後、住宅ローンを支払っていけるかどうか分からなくなったときは、すぐに私ども「任意売却の窓口」をはじめとする任意売却に精通した不動産会社に相談なさってください。
一般の不動産会社と、任意売却専門あるいは任意売却に精通した不動産会社との違いは、単に不動産売買をするだけではなく、債権者(住宅ローンの金融機関)との交渉や、弁護士をはじめとした法律家の先生との提携により、住宅ローン以外の債務整理を検討するなど、様々な解決策の中からお客様にとってベストな方法をご提案できます。
先述したように競売手続きに入る前の、督促状が届いたタイミングであれば、債権者と話し合うことでお客様にとってより良い解決策が見つかる可能性があります。
もし、自宅を手放すご決断をなさったとしても、競売前であれば時間的な余裕がありますので、より良い条件で売却できる可能性が高くなります。
どうすれば良いか分からなくても、現状と今後についてのお話しを聞かせていただければ、ベストな解決策を提案させていただきます。
絶対にやってはいけないこと
住宅ローンの支払いが難しくなったときに、絶対やっていただきたくないのは、他から借金して住宅ローンの支払いに充てることです。
住宅ローンの支払いを優先させるために、他から借りて支払いをしてしまうと、いずれその借金の支払いができなくなります。
住宅ローンの金利は、長期間の支払いとなるため固定金利でも1%~2.5%と低金利ですが、クレジットカードのキャッシングの金利はおおむね18%です。
他から借りて、住宅ローンの支払いに充てるということは、住宅ローンを18%の金利で借りていることと同じです。
例えば、100万円の借り入れがあった場合、金利は年間18万円ですので、返済と借り入れを繰り返した場合は、月々1万5千円余計に負担することになります。
住宅ローンの支払いを一時的に継続できても、借金の返済がもし滞ってしまったら、結果的に自宅を手放すことにもなりかねません。
他から借りて住宅ローンの支払いに充てる前に、まずは住宅ローンの金融機関か任意売却の窓口にご相談ください。
督促状が届いても、とりあえず今はどうにもできないので、もう少し様子を見ようとそのまま放置なさる方もいらっしゃるかと思います。
ですが、この時点でしたら、すぐに行動することでより良い解決法が見つかる可能性があります。
金融機関に直接相談するのはちょっと、と思われる方は、私どもがこれまでの経験からベストな解決方法をご提案させていただきますので、安心してお問い合わせください。