一般的に見て、住宅購入は人生の中でも、特に大きな買い物かと思います。
ローンも長期に渡って続くので、負担も決して小さくありません。
長期でのローン支払いの中で、返済が困難になる場合もあるでしょう。
今回は、様々な事情により、住宅ローンの返済が困難になった際の解決法を紹介します。
結論から先にお伝えするのですが、住宅ローンの返済が困難になった際の解決方法として重要なのは、”とにかく早めに対処していくこと”です。
返済が困難になってからでは、選択できる対策も限られてしまいます。
しかし、早い段階であれば、打てる手段も少なくありません。
そのため、返済が困難になってしまう前に、対策を講じることが大事です。
実際に、住宅ローンの返済が困難になった場合の具体的な対策は、以下の4つです。
1.返済額の軽減申請(モラトリアム)
2.返済期間の延長申請
3.個人再生手続
4.任意売却
任意売却以外の対策であれば、現在住んでいる家を手放さずに、住宅ローンの見直しをすることも可能です。
残念ながら、実際に住宅ローンの滞納が始まると、費用の面でも時間の面でも余裕を失ってしまいます。
そのままでは、不利な条件で家を手放すしかないリスクが高まってしまうのです。
1.返済額の軽減申請
返済額の軽減申請は、銀行との交渉で行うもので、「一定期間の住宅ローン返済額を軽減する」というものです。
返済額の軽減申請は、一時的に特別な事情で収入が減少している場合、あるいは支出が増大している場合などに、該当期間の間だけ月々の返済額を軽減してもらうものです。
軽減された分は、該当期間満了後に支払わなければなりません。
例えば、病気や怪我などで仕事が減った場合や、突然の入院や手術などで月々の支出が増大した場合など、一時的に満額のローン返済が困難な際に活用できます。
その半面デメリットもあり、軽減期間が終了した後は、従来の返済額とは別に軽減された分に利息を加えた額を合わせた額が月々の返済額となるのです。
軽減申請を利用した結果として、トータルの支払額は大きくなってしまいます。
将来的に見て、収入が増える見込みなどがない方の場合には、有効な解決法とは言えません。
また、銀行との交渉が必要ですので、銀行側の定める条件等を満たしておくことが大事です。
2.返済期間の延長申請
返済期間の延長申請は、借入先である金融機関との交渉が必要ですが、住宅ローンの返済が難しくなった際に最初に検討したい対策です。
例えば、返済期間の残りが10年のローンがあった場合、返済期間をさらに10年伸ばすことで、月々の返済額が小さくなります。
その分、返済期間が長期化することで、総金利負担額が大きくなってしまうことがデメリットですが、月々の返済額が厳しくて返済が困難な場合には有効な手段です。
特に、毎月の返済額が少しでも減ることで、払い続けられる方にはオススメの方法です。
3.個人再生手続
個人再生手続とは、継続的な収入が見込める方で、借金の金額が3000万円以下の場合に利用できる債務整理の制度です。
自己破産などと違って、住宅を手放すことなく、借金の減額などを行い自己再生を目指す制度です。
もし、住宅ローンが残っている場合でも、住宅ローンに関する特則を用いることで、一定の条件を満たしていれば住宅を手放さずに再生手続をすることが可能です。
この場合でも、住宅ローンの債務そのものは減りません。
しかし、住宅ローン以外の借り入れに関してはおおよそ決まっており、債務額の20%か100万円のどちらか高額な方が弁済額になります。
通常3年でこれを返済します。返済期間は申請により5年まで伸長可能です。再生手続きで決まった返済(再生計画といいます。)を途中でストップしてしまうと、債務額が再生手続を行う前の額に戻ってしまいます。
ちなみに、個人再生手続は、確実に家を手放さなくて済むわけではありません。
住宅ローン以外にも多重な債務がある場合、その債務を減額してもらうことで、住宅ローンの支払いが継続できるかもしれない場合には有効な手段です。
4.任意売却
任意売却とは、債務者の希望によって、自宅を売却する方法です。
自宅を売却するため、当然ですが自宅は手放さなければなりません。
しかし、住宅ローンを返済できなくなった状態で強制的に競売にかけられるよりは、比較的良い条件で自宅を売却できる可能性が高くなります。
任意売却を選んだ場合、その住宅を担保にお金を貸している金融機関の許可が欠かせません。
やはり、銀行との交渉が重要になります。
時間を要するので、余裕のある状態から交渉を開始させることが必要です。
売却額が住宅ローンの残金に届かない場合でも、住宅ローンの全額返済にこだわる金融機関はあまり聞きません。
ただし、滞納の状況(購入後すぐ任意売却)や滞納後の対応などで金融機関と軋轢がある場合、金融機関の評価額を下回る場合には、金融機関側が任意売却を認めない可能性もあります。
そのような際は、弁護士などの専門家も交えて交渉に臨むようにしてください。
住宅ローンの返済が困難な場合に、絶対にしてはいけない対処法があります。
現在の住宅ローンよりも、金利の高い消費者金融などで借りたお金で住宅ローンを返済することです。
借金で借金を返済していてはキリがありません。
一時的には大丈夫でも、負債はより大きくなっていく一方です。
そのまま深刻な多重債務に陥ってしまう危険性が非常に高いのです。
いずれの対策を選ぶにしても、金融機関との相談が重要です。
交渉次第では、別の対処法が見つかることもあるでしょう。
住宅ローンを滞納してしまう前に、早めの対処を開始するべきです。
対処が遅れると、解決するための選択肢も少なくなってしまいます。
家を失ってから後悔しないように、速やかに交渉していくことが欠かせません。
そして、明確な返済の意志と誠意を伝えるようにしてください。