住宅ローン以外の借金でも差し押さえられる?債務名義での強制競売とは

債務名義での強制競売

 
不動産競売には、住宅ローンを滞納することなどにより、抵当権を行使されて申立てがなされる競売と、借金などの債務を返済できない場合に債務名義を取られ、差し押さえから競売になる場合の2種類があります。

抵当権行使による競売を担保不動産競売、債務名義による競売を強制競売といいます。

これまで、担保不動産競売については、いくつかの記事にてお話をしてきました。

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債権者から競売が申し立てられた後の流れは、担保不動産競売・強制競売のどちらも同じような流れとなります。

しかし、競売を申し立てられるまでの手続きは、担保不動産競売と強制競売では大きく違う点があります。

そこで今回は、住宅ローン以外の借金が返済できなくなった場合の強制競売について、お話ししていきたいと思います。

強制競売とは

強制競売は、債権者が債務名義に基づき裁判所に競売を申し立てることで行われます。

債務名義とは、裁判所のWEBサイトでは以下の様に定義されています。

債務名義とは,強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在,範囲,債権者,債務者を表示した公の文書のことです。強制執行を行うには,この債務名義が必要です。債務名義の例としては,以下のものがあります。
 

  • a. 確定判決
    「100万円を支払え。」又は「○○の建物を明け渡せ。」などと命じている判決で,上級の裁判所によって取り消される余地のなくなった判決を言います。
  • b. 仮執行宣言付判決
    仮執行の宣言(「この判決は仮に執行することができる。」などという判決主文)が付された給付判決は,確定しなくても執行することができます。
  • c. 仮執行宣言付支払督促
  • d. 和解調書,調停調書

債務名義とは | 裁判所

上記以外に、公正証書による債務名義(借用書を公正証書で交わした場合など)があります。この場合、債務名義を確定させるための裁判等は必要ありませんが、強制執行を行うためには強制執行認諾約款付き公正証書であることが必要です。

債務名義による強制執行には、不動産の強制競売以外にも、車などの動産の差し押さえ、給与や預金口座の差し押さえなどがあります。

したがって、住宅ローンの滞納によって所有不動産を既に手放していた場合でも、任意売却により残債の処理をきちんと行っていれば問題はありませんが、競売で手放していた場合には、その残債の返済分を滞納したときなどにも債務名義による強制執行を受ける可能性があります。

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通常、消費者金融やクレジットカードの返済が滞り、債務名義を取られた場合などは、給与や預金口座の差し押さえによる強制執行が優先されることが多いようですので、いきなり不動産を差し押さえられるといったことはほとんどないようです。

しかし、個人的にまとまった金額を借りているケースなどでは、貸主から再三の催促にも関わらず返済を滞らせた場合などに、債務名義による不動産の強制競売申立てといったことはあり得ます。

担保不動産競売と強制競売の違い

担保不動産競売と強制競売の大きな違いは、競売を申し立てられるまでの手続きと時間です。

担保不動産競売は抵当権により競売申立てとなりますので、債務名義を取る必要がありません。したがって住宅ローンなどの抵当権設定がなされている債務の返済が滞った場合に、債権者は素早く競売申立てを行うことが可能です。

これに対し、強制競売は、債権者がまず債務名義を取得する必要があります。

債務名義を取得する一般的な方法としては、訴訟(裁判)による方法があります。しかしこの場合、仮執行宣言付判決や和解調書による債務名義確定まで約半年ほど、控訴や上告があって確定判決が出るまでとなると1年~2年はかかってしまいます。

強制執行認諾約款付公正証書を交わしていた場合には、これらの訴訟を経ずに強制競売の申立てが可能となりますが、公正証書を作成するためには、双方が公証人の面前で契約内容に同意する必要があります。

そのため、消費者金融やクレジットカードなどの一般的な消費賃貸借契約による借金の返済が滞った場合などは、仮執行宣言付支払督促による債務名義を取る場合が多いようです。

競売を申し立てるまでの手続きと時間以外の違いとしては、担保不動産競売が抵当権が設定されている期間はずっと有効なのに対し、強制競売は債務名義が確定してから10年で消滅時効となるため10年以内に申し立てる必要があること。

また、強制競売の申立てを行っても抵当権が優先されるため、抵当権付きの不動産の場合、無剰余(競売で売却しても申立者に配当が見込めない)による申立ての取り消しの可能性があることなどです。

仮執行宣言付支払督促を受けたら

債権者が債務名義を取得するために、裁判所を通して支払督促を行ってきた場合、そのまま無視してしまうと最終的に債務名義が確定し、強制執行が可能な状態になります。

そのため、必ず異議申立てを行い、その後の対応を検討する必要があるでしょう。異議申立てを行うと、通常の訴訟に移行して争うことになります。

具体的には、まず裁判所より支払督促申立書が送付されてきます。このとき「異議申立書」も同封されてきますので、届いてから14日間以内に、所定の事項を記入して送付するか、裁判所へ提出します。

この異議申立てを行わなかった場合、次に仮執行宣言付支払督促が送られてきます。

これにも「異議申立書」が同封されており、受け取った翌日から2週間以内に送付すれば、通常訴訟に移行します。

ただし、仮執行宣言がついていますので、別途、執行停止申立てを行わないと強制執行の可能性があります。

この2回の支払督促を無視した場合、債務名義が確定し強制執行が可能な状態となりますので、それを避けるためには必ず異議申立てを行いましょう。

異議申立てにより通常訴訟に移行した場合、裁判で争っていく事になりますので、ご自身で対応していくことは非常に難しくなります。

したがって、弁護士などの専門家に相談するようにしてください。

 

任意売却でも同じですが、債務の返済が滞った場合、債権者と話し合うことで余計な時間や費用をかけずにお互いにとって最善の解決方法を見いだせる場合があります。

強制競売や、給与の差し押さえなどの強制執行をするとなると、債権者にも時間と費用がかかってしまいます。

そのためほとんどの債権者は、できれば話し合いでの解決を望んでいます。

ご自身での解決が難しいときは、早めに私ども「任意売却の窓口」をはじめとした専門家へご相談ください。
 

 

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